余りがちな人参(ニンジン)は新鮮なうちに冷凍しちゃいましょう。
栄養豊富な人参は意外と冷凍に向いている野菜のひとつ。
ここでは、人参を冷凍する3つの方法や解凍方法、保存期間をご紹介します。
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北海道の十勝で調理と農家の仕事している主婦(調理師、野菜ソムリエ、北海道フードマイスター上級畜産編、メディカルハーブセラピスト)。
得意分野は身体にやさしい食生活ネタ。食材をシンプルに活かすのが大好きです。
人参の冷凍保存方法3つ
- 基本の人参の冷凍方法
- 湯通し冷凍(ブランチング)
- 超時短!調理後冷凍
人参の用途別に分けて、3パターンの冷凍方法をご紹介します。
まずは基本の冷凍方法です。
1.基本の人参の冷凍方法
- 人参をそのまま調理できるサイズにカット
- カットした人参の水分をキッチンペーパーでふき取り
- ジップロックなどの保存袋に人参を重ならないよう平たく並べ、空気はできるだけ抜く
- 金属製のトレイにのせて、冷凍庫へ
簡単ですが、人参を冷凍するための大切な4つの工程なので詳しく解説します。
①人参をカット
野菜いため用、千切り、ミックスベジタブル用など、どの料理に使うか決まってないときは、ご自宅でよく使う切り方にしておくと便利です。
大切なのは「薄く」「小さく切る」こと。
薄く、小さくすることで「人参を素早く凍らせる」ことが出来ます。
これが美味しく冷凍するコツです。
煮物やカレーにしたいという場合は、後述の【湯通し冷凍】をご参照ください。
②水分をふき取り
カットした人参に水分が残っていると霜ができやすく、解凍後の食感や保存状態に悪影響がでる原因となります。
ここで注意していただきたいのは、人参を切った後に洗わないこと。
切った後に洗うと人参の栄養が流出してしまうのと、水分をとる手間が大変になります。
汚れが気になる方は、切る前の丸ごと人参の状態でスポンジなどで優しく洗いましょう。
③保存袋に平たく並べ、空気は出来るだけ抜く
熱が伝わりやすいように厚いかたまりではなく、平たく。
これも素早く冷凍するための工程のひとつです。
重ならないように冷凍することで調理の際に必要分を取り出しやすくて便利になります。ほぐしやすい程度に完全に重ならなければ大丈夫です。
空気は出来るだけ抜きましょう。
切った野菜の最大の敵は空気。
冷凍中も空気に触れることで酸化と乾燥が進みます。
④金属製のトレイにのせて、冷凍庫へ
人参を少しでも早く「最大氷結晶生成温度帯」を通過させるための大切なひと手間です。
出来れば、のせる金属製トレイは、あらかじめ冷凍庫でキンキンに冷やしておくとベストです。
水分が凍るまでの温度は-1℃〜-5℃。この温度帯を「最大氷結晶生成温度帯」といいます。
質問:最大氷結晶生成温度帯とは何ですか?
答え:食品の冷凍とは食品中の水分が凍結することです。
一般に、食品中の水分は-1℃あたりから凍り始め、-5℃程度でほぼ凍結します。
この間に水は氷結晶となりますが、この温度帯を通過する時間が長いと氷結晶が大きくなり、食品の組織を大きく損なってしまいます。
食品の組織の損傷を極力少なくするためには、この温度帯を急速に通過させる必要があり、この凍結方法を急速凍結といいます。
一方、時間をかけた凍結方法は緩慢凍結といわれ、一般に避けるべき凍結方法です。
この温度帯を通過する間に、水分を保つ役割の細胞組織が破壊され、美味しさを損なうのです。
一般的な家庭の冷凍庫は「緩慢凍結」といって、緩やかに凍らせるので、一気に人参を凍らすことは出来ません。
そこで「キンキンに冷やした金属製トレイ」を使用して冷凍庫に入れて30分以内に凍らせる工夫をします。
冷凍のひと手間で解凍後の美味しさに差がでます。
金属製トレイを使った冷凍術は、人参以外の食材、お肉やお魚にも活用できます。
金属製のトレイがなければ、お菓子の空き缶でも代用できますよ。
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2.湯通し冷凍(ブランチング)
- 人参を使いやすい大きさにカット
- 沸騰したお湯に約20秒湯通ししてザルにあげる
- 涼しいところや保冷剤を活用して早く冷ます
- 【基本の人参の冷凍方法】②〜④と同じ
こちらでは、生人参の冷凍に湯通しというひと手間を加えます。
この湯通しを冷凍術ではブランチングといいます。
「野菜類は基本的に『ブランチング』をしてから冷凍します。」
野菜類は基本的に「ブランチング」をしてから冷凍します。ブランチングとは固めにゆでる、あるいは蒸すことです。
加熱すると野菜の細胞組織が若干破壊されますが、生のまま冷凍するより、冷凍による破壊度が最小限にとどめられます。
大きいカットの人参はどうしても冷凍による食感の劣化がついてまわります。
生鮮の人参の調理に比べると少し食感は劣りますが、ブランチングすることで風味や色は問題なく楽しめます。
ブランチングの利点は冷凍による細胞組織の変化を最小限に食い止めること。
ブランチングすることで、乾燥防止、変色の防止、栄養の損失防止、食感の維持に大きく関わります。
人参は小さく切れば、生の状態でも冷凍可能ですが、その人参の状態によっては冷凍中に変色や乾燥が起こる場合があります。
保存にこだわるなら、ブランチング(湯通し)するのがおすすめです。
3.超時短!調理後冷凍でお弁当にも
- 人参をお好きに調理
- 使うとき用に小分けして、しっかり冷ます
- ジップロックなど保存袋に入れ、出来るかぎり空気を抜く
- 金属製のトレイにのせて、冷凍
大きいカットの人参だと食感の変化を感じやすいので、細めの棒切りや薄切りのお料理がおすすめです。
お弁当用にまとめ作りして、お弁当カップに入れて冷凍したら、そのままお弁当にいれれば超時短。
お弁当のなかで自然解凍できて、保冷剤代わりにもなるので暑い季節には便利です。
おかずとして活用するときは1食分ずつラップで包んで、食べるときにレンジでチンすると便利です。
ここで重要なのは、しっかり冷ましてから冷凍することです。
食品からでる湯気が残っていると解凍後にベシャッと水っぽい仕上がりになってしまい、水気が邪魔して味付けが舌に感じにくく、美味しくなくなってしまいます。
きんぴらのように調理を完成してもよし、しりしりの卵を入れる直前までのように半調理状態でも活用できます。
冷凍人参の保存期間
冷凍した人参を美味しく楽しめる保存期間は約1ヵ月です。
温度の変化や酸素に触れる時間を減らすことで2ヵ月まで品質を保持できます。
調理した人参の保存期間は、その半分が目安です。
冷凍庫の温度、人参に付着する水分、使用した人参の状態などは解凍後の満足度や保存期間に影響します。
長く美味しく楽しむ保存のためには、冷凍の際のひと手間や冷凍庫の開閉を素早くなどのちょっとした工夫が活かされます。
冷凍による栄養の変化
人参は冷凍や加熱での栄養値の変化が少ない野菜といわれています。
人参の豊富なβカロチンを冷凍でもとれるなんて、うれしいですね!
でも、調理過程で水のなかに水溶性ビタミンやミネラルが溶け出したりする可能性はあります。
新鮮な人参でも、そのまま放置すると酸化して栄養値が落ちてしまったり、芽が出て栄養素が奪われることがあります。
すぐに使い切れない場合は、新鮮なうちに冷凍保存する方が高い栄養価をとれるといわれています。
ふにゃふにゃにならない「正しい解凍方法」
そのまま加熱する
冷凍人参は「そのまま加熱」しましょう。
お弁当用の調理済みは自然解凍でも問題ありませんが、冷凍人参に自然解凍はタブーです。
冷凍のまま炒める、お味噌汁なら熱い状態で投入、カレーや煮物も仕上げ前に熱い状態で投入して火を通します。
冷凍人参を自然解凍してしまうと、ふにゃふにゃと水っぽく食感が損なわれ、まずいものになってしまいます。
残念ながら、ここからの復活は望めませんし、人参のせっかくの栄養も水分とともに流出してしまいます。
生鮮の人参は火が通るまで時間が必要ですが、冷凍した人参は細胞組織が破壊されている分、柔らかくなっています。
その分加熱の時短になるうえに、人参の香りが濃く感じられます。
効果的な調理法、食べ方
人参に豊富に含まれるβカロチンは、体内でビタミンAに変化する、私たちにとって大切な栄養素です。
カラダに良いと言われるβカロチンは、抗酸化作用、免疫力アップ、美肌効果などうれしい効果が期待できます。
ビタミンAは脂溶性ビタミンなので、油と一緒にとることでより効率良くカラダに吸収することができます。
βカロチンを摂りたいときは、炒め物で油やツナを使用したり、煮物や汁物はお肉や油揚げなどと一緒に調理すると効率よく栄養がとることができます。
●ちょっと注意
人参に付着している水分が「熱くなった油に入る」と勢いよくはねる場合があります。
冷凍状態の人参を炒める際には、油はねに十分にご注意ください。
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まとめ
人参の鮮やかなオレンジ色は食卓やお弁当、その他様々なレシピにパッと明るい彩りを与えてくれる名脇役。
ちょっと彩りが欲しいのときに活躍するのが冷凍人参です。
特売のときにまとめ買い&まとめ作りでお得に時短もできちゃいます。
人参の代名詞であるβカロチンは抗酸化作用が高く、免疫力の向上などが期待できる毎日とりたい栄養素。
人参は冷凍や加熱での栄養が壊れにくいので、美味しいヘルシーライフに冷凍人参を取り入れてみるのはオススメです。
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