りんごが体に良いことは広く知られているけれど、まさかここまで凄かったとは。
「1日1個のりんごで医者いらず」と西洋のことわざにあるように、りんごは世界的にもヘルシーな果実の代表です。
りんごの83%は水分です。残りの17%には、りんごが体に良いと言われる栄養素が詰まっています。
整腸作用やコレステロールの低下、脂肪吸収を抑えるペクチン。デトックスに欠かせないカリウム、果物としては珍しく種類豊富なポリフェノール、りんご酸などなど。
りんごの幅広い栄養素があなたの体にどんな作用をもたらせてくれるのか、具体的にみていきましょう。
りんごの栄養と効果効能
りんごの効果効能には、以下のことが挙げられます。
- 風邪に効く
- ダイエット効果
- アンチエイジング
- 便秘解消
- 妊婦さんの体にやさしい
1つ1つ見ていきましょう。
風邪に効く
風邪で弱った体の栄養や回復に役立つ要素が、りんごには豊富に含まれています。
風邪のときの体の状態は、ウイルスの感染により免疫力や胃腸の働きが低下しているので、出来る限り体に負担をかけずに栄養を吸収することが大切と言われています。
りんごのすりおろし
風邪で弱った体には、りんごのすりおろしが非常に効率が良い栄養補給の方法といえます。
りんごをすりおろすことで胃での消化時間を短縮し、内臓への負担を軽減します。胃での滞在時間が少ない分、栄養を吸収する腸へ届くのも早くなります。
また、りんごの糖分のひとつであるブドウ糖は最も代謝しやすい糖質なので、素早く栄養となりエネルギー源として活用されます。
腸に届いたりんごは栄養として吸収されながら、腸を元気にする力を発揮します。ペクチンによる整腸作用が働き、腸の活動を活発にすることで栄養の吸収を促します。
りんごのすりおろしを食べることによって、他にも風邪の回復に効果的な栄養を摂ることができます。
- 風邪に必要な水分の補給
- リンゴ酸による消炎効果、疲労回復、食欲増進
- カリウムによる排尿とともに塩分を排出する働き
- ポリフェノールによる免疫力の向上
- タンパク質、ビタミン、ミネラル
また、風邪で最も多い症状である、鼻から喉にかけて急性の炎症にもりんごは効果的です。
ペクチンによる粘膜保護作用、リンゴ酸の消炎効果が、その症状への緩和に力を発揮します。
蜂蜜や生姜との組み合わせ
りんごのすりおろしと一緒に、蜂蜜や生姜などの食材と一緒に摂ることでさらに風邪への効果を高めることができます。
蜂蜜には優れた殺菌作用、ビタミン類、基礎体力を回復する作用が含まれています。特に、風邪のときには咳止めや痰切れを良くする効果が期待できます。
生姜には血行促進、免疫力向上、体を温める、発汗作用、解熱、抗菌、抗ウイルス、咳を鎮めるなど風邪に良い効能が豊富に含まれています。
殺菌、消炎効果が期待できる紅茶やハーブティーに入れるなど、ホットドリンクとして摂ると、体も温まり風邪の回復をサポートします。
ダイエット効果
かつてダイエット方法として「りんごダイエット」が人気となりました。
これはいわゆる置き換えダイエットとして、3食のうち1食をりんごにするというもの。
これは栄養豊富で食べ応えがあるのに低カロリーという、りんごの特徴を活かしたダイエット方法です。
最近は、低カロリーに抑えるダイエットではなく、健康的にキレイに痩せる「痩せ体質」をテーマにカラダ作りをするダイエットが主流となっています。
基礎代謝量を上げて、食べた物を燃焼しエネルギーに変換し、老廃物を排出する体に近付けることは、リバウンドの心配が少なく健康面でもメリットがあります。
りんごの栄養素には健康的ダイエットへのサポートが高く期待できます。
- ペクチン:脂肪の吸収を抑える、コレステロール値の低下、インスリンの分泌量の低下
- りんご酸:新陳代謝を良くする
- りんごポリフェノール:脂肪低減、筋力アップによる基礎代謝量の向上
- カリウム:むくみの解消
参照元:りんごと健康
りんごの効能には、ダイエットに欠かせない「排出」として便秘解消も挙げられますが、こちらは後述にて詳しくご紹介します。
アンチエイジング
アイチエイジングとは老化の原因を抑え、体の機能的な衰えを緩やかにすることです。
りんごのポリフェノールは強い抗酸化作用があり、アイチエイジングに効果的と世界的な注目を集めています。
私達の体の各機能は加齢とともに衰えていきます。
年齢を重ねることに加えて、紫外線やストレス、活性酸素などの現代の環境が老化の原因と言われています。老化の症状は各々の過ごしてきた環境や遺伝子などが起因するため、現れる症状も人それぞれ違ってきます。
1998年に発見されたりんごポリフェノールは、これらの幅広い症状への効果が期待できます。
【りんごポリフェノールのアイチエイジングへの効能】
強い抗酸化作用
活性酸素を取り除き、老化や病気から防ぐ働き
血行促進
・体内の脂質の酸化によって引き起こすドロドロ血液を予防する働き
・生活習慣病につながる動脈硬化などを防ぐ
口臭予防
口臭の主な原因となる成分メチルメルカブタンの増加を抑える働き
美白、美容効果
紫外線によるシミ、そばかすなどのメラニン色素の過剰な生成を抑える働き
長寿遺伝子の活性化、薄毛
抗菌作用、血行促進、毛穴の活動の活性化
【ポリフェノールの効果的な摂り方】
アイチエイジングとしてりんごポリフェノールを体に摂り入れるタイミングは食事の前が効果的と言われています。
りんごポリフェノールは、特に熟していない未熟なりんごに多く含まれるといわれています。りんごを美味しく食べるには、樹で熟した蜜入りが魅力的ですが、アイチエイジングには未熟果。
りんごは成長過程によって目的別で幅広く活用することができます。
参照元:りんごポリフェノール - 成分情報 | わかさの秘密
便秘解消
りんごに含まれる水溶性食物繊維ペクチンには便秘解消に大きく役立つ働きが2つあります。
- 便秘で固くなった便をやわらかく出やすくする働き
- 便秘による腸の悪循環を改善する働き
便秘で固くなった便をやわらかく出やすくする働き
ペクチンは便に水分を含ませ滑らかな便を作り出します。水分を含んでカサを増した便は腸を刺激し、自然な排便を促します。
便秘による腸の悪循環を改善する働き
便秘によって腸力が弱くなると、それが原因で便秘の慢性化が引き起こされる場合があります。
腸内環境を整えるにはペクチン。
ペクチンは腸内の善玉菌の大好物です。ペクチンをエサに善玉菌が活発となり、腸内環境が整って排泄力を高める効果が期待できます。
妊婦さんの体にやさしい
りんごは妊婦さんの大切な体をサポートする食材の一つといえます。
加熱調理の手間なく、手軽に食べられるという面もメリットのひとつです。
- つわりの吐き気を抑える
- むくみと高血圧の予防
- リラックスと疲労回復
1.つわりの吐き気を抑える
りんごのペクチンには吐き気を抑制する効果があります。
また、妊娠中に酸っぱいものを欲するのはクエン酸を体が欲しがっているからとされ、りんごにはクエン酸も豊富に含まれています。
クエン酸には胃酸を分解する働きがあるので、胸焼けや胃もたれに効果的と言われています。
2.むくみと高血圧の予防
運動量が低下しがちな妊婦さんは代謝の低下や、血流が滞りやすくなることで「むくみ」が起こる場合があります。
また、妊娠中に気をつけたい妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群の予防策として、血糖値の上昇や血圧が高くなるのを食生活で気をつける必要があります。
りんごには妊婦さんが気をつけたい「むくみ」と「高血圧」の予防と対策として高い効果が期待できます。
りんごの水分とカリウムは体内の余分なものを尿とともに排出を促し、体の巡りを良くし、血圧の平常値の維持に役立ちます。
3.リラックスと疲労回復
妊娠中は体の変化が多かったり、身辺の環境などに敏感になりやすい時期です。
りんごが持ち合わせるりんご酸の効能には疲労回復効果、新陳代謝を高める、自立神経を整える、ストレス解消などの効果が期待できます。
また、りんごの香り成分にはリラックス効果、ストレス緩和が期待できると言われています。
そのまま部屋の中や枕元に置いておくだけでも効果はありますが、水蒸気とともに香り成分を嗅ぐことでさらに高い効果が得られます。
りんごの香りでリラックスしたいときには、紅茶にいれたり、バスタブに浮かべる方法で楽しむことができます。
りんごは妊婦さんに推奨される食材ではありますが、バラ科の果物アレルギー、リノール酸起因のアレルギーをお持ちの方は、残念ながら体質に合っていない可能性が高いのでご注意ください。
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りんごは皮に栄養が豊富?
りんごの皮と実の間、皮そのものには栄養が豊富に含まれています。
皮にある栄養
りんごの皮には3種類のポリフェノール「エピカテキン」「プロシアニジン」「アントシアニン」、皮と実の間にはペクチンとカリウムが含まれます。
これらの栄養素はりんごの果肉よりも皮付近に多く含まれていて、特にりんごポリフェノールは果肉よりも約4倍ふくまれています。
りんごの健康効果を得る為には、皮つきのまま食べる方法がおすすめと言えます。
農薬問題
残留農薬と食品衛生法
りんごは無農薬栽培が非常に難しいといわれる果物として、広く知られています。
りんごの栽培において農薬は使用されていますが、その残留農薬は食品衛生法により厳しく管理されています。市場に出回っているものは厳しい基準や検査をクリアしたものです。
皮に付着している残留農薬は非常に微量で、通常量を食べることによる身体への影響は心配ありません。
食べる前に水洗い
食べる前にしっかり流水で水洗いして、汚れや残留農薬を取り除けば、安心して皮ごと食べることができます。
残留農薬がどうしても気になるという方は、重曹やほたて等の貝殻を活用した、農薬除去用の洗剤を溶かし入れた水に2〜3分つけ置きしてから、流水で洗うとより安心です。
参照元:残留農薬の落とし方はどれが正しい?目に見えないからこそ、しっかり落とすための方法を知っておきたい!
りんごのカロリーは?
りんごの大きな特徴として低カロリーなことが挙げられます。
他の食品との比較
果物
日本食品標準成分表2015年版(七訂)によると皮つきりんごのカロリーは100gあたり61kcal。
りんご1個の平均が260gとされているので、1個あたり158.6kcalです。
他の果物100gと比較してみると、バナナは86kcal、柿60kcal、キウイ53kcal、パイナップル51kcal。
りんごは果物のなかでは食べ応えがあるけれど、カロリーは高くはありません。
主食の代わりにも
大手コンビニのデザートと比較してみると、ドーナツ類は220~400kcal、大福類は220kcal前後、スイーツ類は250~350kcal。
ケーキやアイスクリームの中には、りんご約2個分のカロリーのものもあり、食べたときの満足感で比較すると、りんごは間食として低カロリーでヘルシーといえます。
また、主食として比較してみると、ご飯茶碗1杯(150g)252kcal、食パン5切り1枚186kcal、パスタ1食分(100g)378kcalです。
りんごは主食の代わりとしても、食べ過ぎた翌日の調整などにおすすめな食材といえます。
満腹感
りんごが低カロリーなのに満腹感が得られやすいのには理由があります。
豊富な水分と繊維質は咀嚼効果を高め、噛めば噛むほど広がる甘味と酸味の美味しさから満足感を得ることできます。
りんごの糖分の1つフルクトースはブドウ糖よりも消化に時間がかかる果糖なので、腹持ちの良さを得ることができます。
血糖値
果物全般はヘルシーですが、果糖による血糖値の上昇率の高さから敬遠される場合があります。
食べたときの血糖値の上昇率を表す数値のことをG1値といいますが、りんごのG1値は39。
りんごは低G1値の食材であり、食べた時の血糖値の上昇率は低いので、空腹時にも安心して食べることができます。
参照元:果物 | e-ヘルスネット 情報提供【厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト】
加熱(レンジ)・冷凍・すりおろした時の栄養の変化は?
加熱
加熱によるメリットは、ペクチンの働きが約9倍に増えることです。
これは加熱することによって、りんごに含まれる不溶性食物繊維「プロトペクチン」が水溶性食物繊維「ペクチン」に変化するためです。
逆にデメリットは、熱に弱い栄養素のビタミンCが減少し、カリウムが水分とともに溶けだしてしまう事です。
りんごポリフェノールは熱に強いので、加熱による変化はありません。
冷凍
冷凍したりんごは解凍時に栄養が減ってしまう場合があります。
生のりんごは凍らせる過程で細胞壁が壊されます。
それが原因で、解凍するときに果肉から水分が流れ出てきます。
その水分のなかには、水溶性のペクチン、ビタミンC、カリウムが含まれています。
また、生のりんごに含まれる酵素は冷凍状態では活動を休止します。
解凍することで活動を再開しますが、長い期間冷凍状態を続けると酵素は死滅してしまいます。
果肉から流れ出た栄養素ごと摂りたいという場合には、スムージーやコンポートへの活用がおすすめです。
すりおろし
りんごをすりおろすと、酵素の量が増えます。
酵素は細胞の膜のなかに閉じ込められていますが、カットするだけより、すりおろすことでより多くの細胞壁を壊すことが出来、酵素を引き出すことができます。
ただし、時間とともに酵素は減ってしまうので、酵素を摂りいれたいときには食べる直前にすりおろすようにしましょう。
りんごの栄養成分
食品成分表
生の皮つきりんご100gあたり
エネルギー | 61kcal |
水分 | 83.1g |
タンパク質 | 0.2g |
脂質 | 0.3g |
炭水化物 | 16.2g |
食物繊維 | 1.9g |
カロテン | 22μg |
ビタミンE | 0.4mg |
ビタミンK | 17μg |
ビタミンB1 | 0.02mg |
ビタミンB2 | 0.01mg |
葉酸 | 21μg |
ビタミンC | 6mg |
カリウム | 120mg |
カルシウム | 4mg |
マグネシウム | 5mg |
リン | 12mg |
鉄 | 0.1mg |
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)について:文部科学省
りんごの脂質は多価不飽和脂肪酸であるオメガ6系リノール酸です。
りんごを触ると表面がベタベタとすることがありますが、それはリノール酸が空気による乾燥からりんごを守ろうとしていると言われています。
ビタミンEは脂溶性ビタミンの1つで、強い抗酸化作用があり、体内の不飽和脂肪酸の酸化を防ぐ働きがあります。
りんごに含まれるビタミンEは果物、野菜のなかで比較的多く、血管を酸化から守り、血行を良くし動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防に役立つことが期待できます。
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まとめ
りんごは毎日の健康維持やダイエット、風邪で弱ったとき、便秘の解消など幅広く活躍してくれる栄養豊富な果物です。
生は爽やかな満腹感のあるデザートやサラダとして、加熱したものはフライパンで焼くだけでギュッと甘酸っぱさが凝縮され、皮の食感も柔らかく楽しむこともできます。
調理法によって味や栄養が変化する1日1個のりんごで、毎日の健康に役立てていただけたらと思います。
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