栄養素が豊富な緑黄色野菜の一つ、かぼちゃ。
炭水化物の量が多く、カロリー高めであるのは否めませんが、そのデメリットをカバーして有り余るほどの栄養がかぼちゃにはあります。
どのような栄養素をどれくらい含み、どんな健康効果が期待できるのか、詳しく見ていきましょう。
ぱっと読む見出し
かぼちゃの栄養素と効果効能
ビタミンA
抗酸化作用
かぼちゃに豊富に含まれるβカロテンは体内でビタミンAに変換されます。
このビタミンAには強い抗酸化作用が確認されており、生活習慣病の防止にうってつけです。
一般的なかぼちゃは4000mg/100gのβカロテンを含み、野菜のなかでもトップクラスの含有量です。
生活習慣病の原因のひとつに、体内で必要以上に発生した活性酸素がありますが、この活性酸素の発生を抑えてくれるのが、ビタミンAです。
活性酸素により体内で酸化した脂質などの物質は、脳や心臓、血管などにダメージを与え続けて、前ぶれもなく突然、心筋梗塞や脳卒中など、生活習慣病になる可能性が出てきます。
SPONSOR LINK
妊婦さんとビタミンA
「妊婦さんはビタミンAの過剰摂取に注意」と指摘するサイトがありますが、この場合のビタミンAはレチノール由来のビタミンAのことで、βカロテンから生成されるビタミンAは当てはまりません。
レチノールは動物性食品に多く含まれている成分で、レチノール由来のビタミンAの過剰摂取は胎児の体の形成に悪影響を及ぼします。
かぼちゃに豊富なのはβカロテンで、レチノールと異なり余分は自然に排出されるので、過剰摂取の心配は無用です。
ただし、サプリメントなどの補助食品の成分表記には「ビタミンA」としか表記されないことがありますので、お医者様に相談・確認してからサプリを使用しましょう。
参照元:厚生労働省:「日本人の食事摂取基準」(2010年版)
ビタミンE
ビタミンEには4種類の成分がありますが、かぼちゃが大量に含むのが「αトコフェロール」です。
α-トコフェロールは最も強い抗酸化作用を持つ代表的なビタミンで、細胞の酸化を防ぐことから別名「若返りのビタミン」とも呼ばれます。
いつも若々しく、健康に過ごすためにはぜひ摂取したいビタミンです。
一般的なかぼちゃは4.9mg/100gのビタミンEを含みます。
※大量に摂取すると血が固まりにくくなり出血しやすくなるため、血液を凝固(ぎょうこ)させる薬剤を服用している方は注意してください。
ビタミンK
ビタミンKと骨の健康
かぼちゃにはビタミンKも含まれ、骨がカルシウムを吸収しやすい環境を整えてくれます。
骨がカルシウムを取りこむときに必要になるのが、オステカカルシンというタンパク質ですが、ビタミンKはオステカカルシンを活性化させます。
骨が自然にカルシウムを吸収するわけではありません。
またビタミンKには、骨がカルシウムを失う現象を抑制する働きもあります。
ビタミンKと血液の健康
ビタミンKは、出血の際に血が固まるのを助けます。
血液が空気に触れたとき、凝固させる物質を血液凝固因子(けつえきぎょうこいんし)と呼び、この因子となるタンパク質を生成するのにビタミンKが必要になります。
一般的なかぼちゃは25μg/100gのビタミンKを含みます。
カリウム
かぼちゃに多く含まれるカリウムは、高血圧の抑制や、血圧を安定させる効果があります。
カリウムは、体内の余計なナトリウム(塩分)を排出するのに必要不可欠なミネラルで、体の塩分バランスを調整し、むくみ改善にも期待が持てます。
一般的なかぼちゃ(西洋かぼちゃ 果実 生)は450mg/100gのカリウムを含みます。
リン
リンは丈夫な骨や歯を形成・維持するのに欠かせないミネラルの一つです。
骨や歯といえばカルシウムを思い浮かべてしまいますが、それは材料の一つに過ぎず、カルシウムとリンが結合することでリン酸カルシウムとなり、これが骨や歯の強度を保ちます。
一般的なかぼちゃは43mg/100gのリンを含みます。
※リンは食品添加物として加工食品にも多く含まれ、清涼飲料水やインスタント食品などの酸味として使用されます。
一日の許容上限量は3000mgですので、骨の強化を目指す場合でも、過度な摂取は控えてください。
かぼちゃで夏バテ解消
ビタミン・ミネラルが豊富
夏野菜の代表格であるかぼちゃには、ビタミン・ミネラルが豊富に含まれており、夏バテの予防や解消に効果的です。
発汗量が多くなる夏には、汗とともに排出されるビタミンやミネラルの量も増加しがちです。
発汗する時、ナトリウムと一緒にカリウム(ミネラル)も失います。
かぼちゃを食べて、意図的にカリウムを補うようにしてください。常に余分なナトリウムを排出できる体を整えておきましょう。
かぼちゃの皮の栄養は?
かぼちゃの皮にはビタミンA、ビタミンCも多く含まれています。
さらにワタの部分にも多くの栄養素が含まれていて、棄ててしまいがちですが、ぜひとも摂取してほしい部分です。
調理に工夫や一手間が必要になりますが、カボチャの栄養を丸ごと取りこんでみてください。
参照元:JA千葉みらいは農業を通じて新しい食文化を育てる都市型農協です。-旬・レシピ【カボチャのサラダ】-
かぼちゃは種も食べれる?栄養は?
かぼちゃの種にもリノール酸(血中コレステロール値の上昇を抑制)やマンガン(骨の発育を助ける)、亜鉛(正常な味覚を維持する)などの栄養素が含まれており、その他に高血圧の予防、更年期症状の緩和などにも期待できます。
漢方薬に詳しい方なら「南瓜仁(なんかにん)」という名前を聞いたことがあると思いますが、これはかぼちゃの種のことです。
かぼちゃのカロリーは高い?太る?
炭水化物が多い点は否めません。
炭水化物の含有量は20.6g/100gでカロリーは91kcalとなります。
ダイエット中の方や、炭水化物を少しでも抑えなければならない方にとっては、確かにデメリットです。
ただデメリットを補うだけのビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンCなどを高い数値で含有しているのも事実です。
かぼちゃの加熱で栄養は変わる?
無機質(ミネラル)の変化
加熱による無機質(ミネラル)の破壊は少ないです。
ただし、煮物などの場合は温度が上がるにつれ、また時間が経過するにつれゆで汁に溶け出る量が増加します。
ミネラルを失いたくない場合は、電子レンジである程度火を通しておき加熱時間を短縮するようにしてください。
ただし、煮汁も一緒に食べる調理方法であれば損失は心配ありません。
ビタミン類の変化
βカロテンやビタミンE、Kは脂溶性ビタミン(油や脂に溶けだしやすい性質のビタミン)で、加熱による破壊も心配することはありません。
レンジで加熱する
事前にレンジで蒸すことで、流出を最小限に抑えることが可能です。
硬いかぼちゃの下処理として電子レンジを活用している方は多いと思いますが、より多くの栄養素を摂取したい場合は、蒸し野菜のサラダなど効率的に手早く調理することで損失を低く抑えましょう。
かぼちゃの栄養成分表
ところで話は変わりますが…
冬至にかぼちゃを召し上がりませんか?
一年で最も日中の時間が短くなる日で、逆にこの日を境に日中時間が長くなるのでとてもメデタイ日。
そんな大切な日には末尾に「ん」が付く食べ物(「運」がつくからの転化のようです)で更に縁起を担ごうとしたのが始まりです。
かぼちゃは別名「南瓜(なんきん)」。末尾どころか2回も「ん」がありますね。
かぼちゃは保存性が優れていて、旬は7~12月頃とかなり長い作物です。
そして植物ですので自然環境や栽培条件で成長も収穫タイミングも異なります。
甘みは収穫してすぐよりも1ケ月後くらい方がよく、遅くとも11月中旬までに収穫しておくと「より良く」いただくことができます。
SPONSOR LINK
まとめ
ビタミン・ミネラルを豊富に含むかぼちゃです。
そのまま召し上がるには少し向かない食材ですが、少し工夫してより良い形で体に取り込みましょう。
SPONSOR LINK