今回は血液サラサラ効果を始め、認知症予防、食欲の増進や精神の安定などの健康効果が期待できる玉ねぎを取り挙げます。
体にいいのは分かるけど、あの辛味が苦手というそこのあなた。
玉ねぎは調理の工夫によって、健康効果や味の変化など、様々な魅力が見えてくるのです。
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玉ねぎの効果効能
血液サラサラ効果
玉ねぎの代表的な効果効能といえば、血液サラサラ効果。
玉ねぎがもつ含硫アミノ酸に血液サラサラ効果があります。
ただし、玉ねぎを切ってしまうと酵素の働きによって、含硫アミノ酸が他の成分に変わってしまうので、含硫アミノ酸を摂りたい場合は、切る前に加熱して、酵素を働かなくする必要があります。
玉ねぎを切ってしまった場合でも、ゆっくり加熱するとトリスルフィド、セパエンという成分が生成され、ドロドロ血液の解消に期待大です。
含硫アミノ酸
含硫(がんりゅう)アミノ酸は、側鎖に硫黄原子Sを含むアミノ酸です。メチオニン、システイン、シスチン(システインの2分子が結合)の3種類があります。水銀やカドミウムなどの有害金属と結合する作用があるため、体内の有害物質を排泄し、解毒する効果があると言われています。 引用元:含硫アミノ酸[栄養素で健康管理]オールアバウト
アミノ酸という言葉はよく聞きますが、含硫アミノ酸はその中の一種です。
トリスルフィド(ジメチルトリスルフィド)
セパエン
タマネギはカットすることによって成分が変化し、丸ごとそのままの状態と健康効果に違いが生じることになります。タマネギをカットして、そのまま1時間ほど放置しておくとニオイ物質のトリスルフィド類やセパエン類(ニンニクではアホエンやビニルジチイン類)が生成されます。引用元:株式会社 シクロケム|サイエンストーク 科学の現場
トリスルフィドは食材の香りを引き立たせるために香料として、添加されることもあるようです。
認知症予防
意外に知られていないのが、玉ねぎと記憶の関係です。
認知症予防についても、玉ねぎに含まれるにおい成分のトリスルフィドが効果を発揮します。トリスルフィドが記憶をつかさどる大脳の海馬(かいば)の酸化を防いで、記憶障害や、痴ほう症を防止する効果があります。
食欲の増進と精神の安定
玉ねぎの辛味、涙の原因であるチオスルフィネート
玉ねぎの辛味のもとで、涙を催す成分でもあるのが、チオスルフィネート。
チオスルフィネートには、食欲の増進や精神の安定の効果が見込めます。
肉の下処理にも
牛肉などの下処理にすりおろしの玉ねぎを使うことがありますが、肉の臭み消し・抗菌効果も、このチオスルフィネートの活躍によるものです。
コレステロール上昇の抑制
玉ねぎに含まれる含硫アミノ酸という物質には、コレステロール上昇を抑制する働きがあります。
含硫アミノ酸は、玉ねぎを切る前に含まれている物質で、切った後は酵素の活動によって、前述のチオスルフィネートを生成します。
同時に含硫アミノ酸には、男性ホルモンの分泌を増加させる作用があるほか、男性の意欲減退、不眠、うつ症状の改善や強精効果も報告されています。
参考文献:農文協発行「現代農業」2014年5月号玉ねぎの健康パワー(当時)北翔大学 西村弘行学長 著
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玉ねぎを加熱するとどうなるの?
栄養・健康効果
同じ玉ねぎでも、切ってから加熱するのと、加熱してから切るのとでは健康効果が異なってきます。
切ってから加熱する
血液サラサラ効果や、記憶障害の防止・海馬に良い効果を求めるには「切ってから加熱」が基本になります。
トリスルフィドやセパエンは加熱に強く、油脂に溶けだしやすい性質があります。
玉ねぎをカットして、30~60分放置してから、炒める・煮るなどして加熱すると良いでしょう。
より高い効果を得るには、トリスルフィドやセパエンの原料になるチオスルフィネートをしっかり生成しておくこと。切ってすぐ炒めるのではなく、放置してから加熱することで、酵素がしっかり働きチオスルフィネートを大量に生成することができます。
どのような切り方でも酵素は働き始めますが、輪切りやみじん切りなど、繊維や細胞をより多く切断する切り方の方が、効率的ですね。
加熱してから切る
コレステロールの上昇を抑える、男性ホルモンの分泌を活発にさせるなどの効果を狙う場合は、含硫アミノ酸に働いてもらいましょう。
玉ねぎを切ってから加熱すると、酵素が働いてチオスルフィネートに変質してしまいますので、コレステロールの抑制や、男性ホルモンの分泌や強精効果は得られません。
鬼皮(玉ねぎの外側にある薄茶色の皮)だけをむいて、「切らずに電子レンジ」でまず加熱。500Wで2分も加熱すれば、酵素が働かなくなり含硫アミノ酸がそのまま残っている状態になります。
切らずに茹でても結構ですが、芯まで火を通すには時間がかかるし、外側は加熱しすぎてトロトロ。それはそれで美味しいのですが、電子レンジの方が断然、効率的ですね。
参考文献:農文協発行「現代農業」2014年5月号玉ねぎの健康パワー(当時)北翔大学 西村弘行学長 著
味・食感
玉ねぎを炒め続けると水分の蒸発とともに、ツンっとしたあの独特のニオイも消えていき甘い・香ばしい香りに変化していきます。
栄養成分は調理の方法でコロコロと変わりますが、元々、甘みの強い食材です。カットすることで辛み成分が一気に作り出されますので、辛い野菜というイメージがありますが、本来は甘い食べ物です。
玉ねぎの水分が40%から20%へと減っていく中で急激に色、味、香りが変化していきますので、玉ねぎを炒める時は「ゆっくり・じっくり」を心がけましょう。
玉ねぎを水にさらすとどうなるの?
栄養・健康効果
玉ねぎの辛味を取り除く方法に水にさらす方法がありますが、水にさらす時間が長いほど、栄養成分は水に溶けだして健康効果も薄まってしまいます。
玉ねぎに含まれる含硫アミノ酸やチオスルフィネートは、水溶性(水に溶けやすい性質)の物質です。
約10分を目安に少しだけ食べてみて、まだ辛くて食べられないという場合は、さらに5分さらして様子を見る、などの方法で丁度よいところをお探しください。
参照:玉ねぎ | キッコーマン | ホームクッキング
味・食感
チオスルフィネートは玉ねぎの辛み成分そのものです。
水にさらすことによって、辛みは抑えられて、シャキシャキ食感が増します。
甘み成分は水に溶け出しにくい性質がありますので、甘さを失うのでは?という心配は無用です。
参考文献:農文協発行「現代農業」2014年5月号玉ねぎの健康パワー(当時)北翔大学 西村弘行学長 著
玉ねぎの栄養成分・カロリー
ビタミン類に顕著なものはありませんが、無機物(ミネラル)がバランスよく、また多数の種類が含まれています。
ミネラルは体内で代謝がスムーズに進むように働き、健康な生活には必要不可欠な物質です。
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まとめ
玉ねぎは調理の工夫によって、さまざまな健康効果・味が期待できます。
例えばカレーにタマネギを使うにしても、全量を切って炒めるのではなく、半量を通常どおり炒めて、もう半量は電子レンジで加熱したものをカットしてトッピングすれば、それぞれの効果を同時にゲットできます。
調理の工夫で、玉ねぎを毎日の健康にお役立てください。
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