玉ねぎの栽培には、特別な技術も資材も必要ありません。
一つ一つのポイントを押さえることで、立派な玉ねぎを収穫することができます。
とても美味しく、健康にいい玉ねぎを、あなたの手で育ててみませんか?
プロが玉ねぎの栽培方法を丁寧に解説します。
玉ねぎの栽培時期・適した環境
栽培時期(11月上旬~翌年5~6月)
玉ねぎには多くの品種がありますが、栽培時期は概ね以下の通りです。
11月上旬に苗を畑へ定植します。
1・2・3月の各中旬に追肥(ついひ:植物の成長に併せて、必要な肥料を施すこと)をしましょう。
5~6月に収穫です。
適した環境
玉ねぎは、冬の寒さと春の温かさの両方が必要な植物です。
また、春から長くなり始める日照時間と日光の量で玉ねぎの肥大が始まります。
寒さの後の温かさ、そして良い日当たりが良質な玉ねぎを収穫するための条件となります。
玉ねぎのおすすめ品種
品種はラインナップが豊富で迷うかもしれません。
初めて玉ねぎ栽培に挑戦する方へは、極早生(ごくわせ)品種をおすすめします。
栽培期間が長い順に中生(なかて)、早生(わせ)、極早生となりますが、失敗が少なく、味がよいのは極早生品種です。
必要な道具
- クワ
- ジョウロ
- ハサミ
畑を耕して畝(うね)を立てるクワ、水やりに使うジョウロ、収穫時に余計な葉を切り落とすハサミなどでOKです。
特別な資材は必要としません。
「除草がめんどう、地中の温度を少しでも高く維持したい、土の水持ちをよくしたい」などの場合は「黒色穴あきマルチ」を用意してください。
黒色穴あきマルチ
穴あきマルチと、そのマルチを固定する止め具を準備しておきましょう。穴あきマルチはホームセンターや種苗店などで購入が可能です。
※穴あきマルチがなくとも、玉ねぎの栽培は可能です。
玉ねぎを栽培しよう
土作り、畝(うね)は東西方向
玉ねぎを植え付ける畑の雑草を取り除き、十分に耕します。
1㎡当たりに堆肥を2キロ、化成肥料(※窒素-リン酸-カリウムの比率は7-7-7や8-8-8などバランスの良いもの)を100~120g程度散布して、さらに耕してください。
日当たりを均一にして、全ての玉ねぎにより多くの光を与えるために、畝は東西方向に立てましょう。
南北方向でも栽培は可能ですが、日射量に偏りができるので、出来れば東西方向が望ましいですね。
植え付けの1週間前には畝を立てて、肥料が土になじむよう休ませておく時間が大切です。
※肥料の三要素は窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)です。
肥料のパッケージなどにある3つの数字の表記は、この三要素の含む量と割合をしめしています。
苗選びが大切
種苗店で苗を購入します。
草丈は20~25cmの間、茎の一番太いところが8~10mm程度のサイズがベストです。
太すぎるものはトウ立ち(収穫の時期が近づいてツボミがつくこと。玉の肥大が止まるので、玉ねぎ栽培においてはトウ立ちは失敗。玉ねぎの場合はツボミを「ネギ坊主」とも呼びます)します。
細すぎるものは冬枯れしたり、霜の被害に遭いやすくなります。
もちろん種から栽培することも可能ですが、玉ねぎの育苗はかなり難しいので、苗を購入した方が良いでしょう。
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苗の植え付け【11月上旬】
1本の畝の幅は60~70cmで2条【2列(条とは植え付けた列のこと)】植え付けます。
条間は30cm、植え付け間隔は10cm、植え付け穴の深さは2~3cmが目安です。
水やりのポイント
植え付け時には、表面に水が浮くくらいたっぷりの水を与えます。
後は表面が乾燥した状態が3日以上続いたら6~8リットル/㎡程度で大丈夫です。
水を与えすぎると玉ねぎにもよくない上に、病気発生の原因にもなるので、気を付けてください。
追肥を与える【1、2、3月の各中旬】
1、2、3月の各中旬に追肥を与えます。
追肥で使う肥料は、ややリン酸成分が高く、窒素成分が低いものが適しています。
4月以降に窒素が多く残っていると、玉の肥大が遅れてしまうからです。
量は40g/㎡と少な目です。
あまりに少ないので心配になるかもしれませんが、この量で充分です。
逆に追肥を与えすぎると、腐りやすく、締りのない質の悪い玉ねぎに育ってしまいます。
ネギ坊主(ツボミ)が出てきたら
ネギ坊主
冬を越え、暖かくなるとトウ立ち(ネギ坊主ができる)するのは、植物の生理として当然ですが、玉ねぎの栽培に限ると失敗です。
悲しいですが、それ以上、玉は大きくならないので引き抜いてください。
ネギ坊主は天ぷらにするとおいしいですし、若い玉ねぎなので、葉も食べることができます。
収穫(5~6月)
5月前後に玉ねぎの葉が倒れます。
病気でも枯れているのでもありません。これは収穫が近づいたサインになります。
葉の6割以上が倒れて、なおかつ葉に緑が残っているうちに、一気にすべてを引き抜きます。
玉ねぎの栽培で失敗しない4つのポイント
玉ねぎ栽培では以下の4つに気をつけましょう。
- 苗選び
- 肥料
- 水やり
- 日当たり
1.苗選び
苗選びが大切です。
細すぎる苗や太すぎる苗は植え付けても、良い玉ねぎには成長できません。
2.肥料
肥料を与えすぎないことも大事なポイントです。適量を適期に与えてください。
3.水やり
水も与えすぎてはいけません。玉ねぎは多湿に弱い植物です。
4.日当たり
春先からはしっかりと日当たりを確保しましょう。
雑草が生い茂ると日当たりも風通しも悪くなるので、こまめに除草してあげましょう。
玉ねぎの病気・害虫対策
タマネギに発生しやすい病気
腐敗病(葉にまだらのシミ)、べと病(葉が変色)、黒班病(葉が黒ずむ)などが代表的な病気です。
いずれも、見つけ次第引き抜いて、正常な玉ねぎへの感染を防止します。
一見すると正常に見える玉ねぎにも、既に感染している可能性があります。
心配な場合は殺菌剤などの薬剤を準備して散布すると、拡大を食い止めることができます。
原因は水の与えすぎや、追肥の与えすぎが考えられます。特に追肥の窒素成分が多いと病気が発生しやすくなります。
害虫対策
アブラムシ、タネバエなどが害虫となります。
玉ねぎをかじったり、食い荒らすことはありませんが、これらの虫は病原菌を運びます。いずれも光を嫌うので、やはり除草が大切です。
●その他玉ねぎに関連のある記事
玉ねぎに連作障害はある?
玉ねぎの場合、3年は連作が可能です。
ただし4年以上は障害の発生する可能性が高まります。
※連作障害:毎回同じ場所に同じ野菜や同じ科の野菜を栽培していると、土の成分が偏ったり、養分が不足したり、病気が発生しやすくなったり、病害虫はないのに収穫量が格段に落ち込むことがあります。
タマネギはユリ科植物です。ユリ科は比較的、連作障害に強い科目ですが、5年も6年も作り続けるのは控えましょう。
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まとめ
水も肥料も与えすぎないことが、玉ねぎ栽培には大切です。
愛情を込めるほど与えたくなりますが、玉ねぎには「そっと見守る」というガマンが必要です。
春の食卓を、あなたが育てた玉ねぎで彩りましょう。
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