にんにくの栽培は難易度が低く、初心者や畑をお持ちでない方でも、プランターで簡単に育てることができます。
今回は、一般的で失敗が少ない、秋植え~翌年の春獲りを例に、にんにくの栽培方法、時期について紹介します。
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プランター・土・その他必要な道具
にんにくのプランター栽培に必要なものをご紹介します。
- プランター
- 用土
- 種
- その他
1.プランター
標準的なサイズ(横幅60cm×奥行20cm前後)のもので、10個程度の栽培が可能です。プランターの深さは15cm以上あればOKです。
材質も問いませんので、お好みのものを選んでください。
2.用土
培養土
市販の培養土【注:複数の種類の土や肥料を混ぜ、水もち・水はけが調整された土】がおすすめです。
間違いがないですし、プランターで使う量の土を自分で作ると、かえって材料費が割高になってしまいます。
市販の培養土は肥料(元肥:「もとごえ」…種を植え付ける前に土に仕込んでおく肥料)も入ってます。
種球【注:たねきゅう(種にするにんにく)】を植え付ける時まで、封をしたままにしておいてください。
口を開けて、何日も放置しておくと用土の水分が抜けてしまいます。
土の容れ方
プランターに容れる土の深さは10cm。
土が余ったからと言って、ギュウギュウ詰めたりせず、「ふわっ」と土を容れます。
詰め過ぎた土は排水性を悪くして、種球が腐ったり、病気の原因になったりしますので、ご注意を。
3.種
種球【たねきゅう(種にするにんにく)】は園芸店でお買い求めください。
にんにくには大きく分けて暖地種と寒冷地種とがあります。お住まいの地域にあったものを選んでください。
まず、種球の外皮を剥いで1かけらずつに分けます。
次に、傷んでいるもの、腐っているもの、斑点が多いものなどは枯れたり病気にかかったりしやすいので、植え付けはしません。
最後に、見た目に異常がないものの中から、大きくプックリと丸いものを選抜してください。
かけらが薄いものや小さいものは、植え付けスペースが余ったら植えるようにして、大きく丸いものを優先しましょう。
4.その他
- 水やりに使うじょうろ
- 追肥【おいごえ…種を植え付けた後に随時施す肥料として液肥(※)】
- 土寄せ作業に小さなスコップ(手で土寄せする場合はなくても結構です。)
※化成肥料を追肥として使用しても良いですが、プランター栽培なら即効性のある液肥をお勧めします。
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にんにくの栽培方法・時期
タネの植え付けから芽生え(萌芽)
地域にもよりますが、9月中旬~10月上旬がタネの植え付け時期です。
まず植え付ける位置を決めますが、植え付け間隔は10~15cmとしましょう。密植しても育ちますが、玉が大きくなりにくいので間隔を詰め過ぎないようにしてください。
位置を決めたら、土に5~6cmの穴を指で開けます。
あまりに深いと萌芽が遅れてしまうので、注意してください。
その穴に種球の「尖った方を上」に向けて入れます。入れ終わったら、上からふわっと土をかけてから、軽く手で抑えてください。
全ての位置に種球を植え付けたら、最後にたっぷりの水をやりましょう。しばらくして、プランター底から水が出てくるくらいの水を上げてください。
萌芽まで約10日~2週間かかります。
水やり
萌芽までは、毎日水やりが必要です。
萌芽後はやや乾燥気味がニンニク栽培には適しています。
神経質になりすぎて、毎日大量に水をやると、根が腐ってしまうので「ホドホドに」が大切です。
年を越して2~3月ごろに、気温が上昇し始めると土はすぐ乾くので、天気の良い日はタップリ目に水やりをしてください。
肥料を与える(追肥)
プランター栽培の場合、2月~3月ごろまでは元肥で育ちますが、それ以降は追肥をやると良いにんにくが収穫できます。
化成肥料より即効性のある液肥(えきひ…植物の栽培に必要な成分を配合した液体の肥料)を使います。1~2週間に1度水やりを兼ねて与えてください。
なお、表示の定量より、若干薄くても大丈夫です。
例えば、水1リットルに10mlの原液を溶かすタイプのものなら、8~9mlでOK。窒素成分を過剰に与えると、病気にかかることがあるからです。
同時に、株元へ周囲の土を寄せてあげましょう。
根が力強く張り出して、株全体が浮き上がる場合や、重心の位置も高くなり倒れるものが出てくるかもしれません。
にんにくの足元を支えてあげます。
蕾を摘み取る(摘蕾)
摘蕾という作業が、良質のにんにくを収穫するためには必要です。
「てきらい」と読み、蕾(ツボミ)を摘み取る作業を言います。
4~5月くらいに、今まで薄っぺらい葉だけだったのに、先端に三角帽子のようなツボミを付けた棒状の茎が伸びてきます。これは花茎と呼ばれるもので、放っておくと花が咲きます。
同時に鱗茎【りんけい(にんにくの球そのもの)】は成長しなくなるので、花茎を摘み取る必要があります。
ただし、この摘み取った茎を捨てるのは、あまりにも惜しいので、出来れば召し上がってください。
実はこの花茎が、お店で売られている「芽ニンニク」です。
年中出回っているのは主に中国から輸入しているからですが、一般的には4~5月の食べ物です。
炒め物や、ゆがいて酢味噌和えなどで、とても美味しくいただけます。
収穫
6月頃になると、葉先が枯れてきますが、焦らないでください。これが正しい形です。
葉の全体の約50%が枯れたら収穫のサインです。
葉元を持って引き抜いても良いし、スコップで周囲の土を起こしても結構です。
梅雨に入ると、土の中のにんにくが腐ってしまうので、遅れないよう収穫してください。
にんにくの栽培に適した環境
にんにくの生育にとって、快適な温度は10~22℃までで、25℃で萌芽をやめてしまい、30℃近くなると休眠してしまいます。
なので、植え付け時期をにんにくに合わせてあげることが大切になります。
適切な温度管理を行い、良い成長を与えると、にんにくは「早く」・「大きな玉」を付けてくれます。
冷涼地
おおよその区分けですが、北海道、東北地方、甲信越地方のほか、近畿・中国地方の日本海側の地方などは
9月中旬植え付け~翌年6月下旬収穫
中間地
関東、中部、近畿などの太平洋側や、中国地方・四国の中部より北は
9月下旬植え付け~翌年6月中旬収穫
暖地
四国の中部より南、九州などは
10月上旬植え付け~翌年6月上旬収穫
あくまで「目安」ですので、お住まいの地域の気候にあった栽培時期をお選びください。
屋内?屋外?
プランター栽培ではありますが、にんにくの生育に屋内は適しません。
外の風や日光によく当てることが大事です。
冬も寒さにさらすことで、にんにくの質は高くなります。
連作障害
にんにくを同じ土で2年、3年と栽培していると、次第に土の成分が偏って、枯れやすくなったり、奇形を生じたり、病気にかかりやすくなります。
このような害を「連作障害」と呼びます。
にんにくは比較的、連作障害に強い植物ですが、プランター栽培は土の量が少ない点や、耕したり雨にさらされることも少ないので、1度使った土は廃棄して、翌年は新しい土を準備しましょう。
気を付ける病気や害虫
病気
にんにくがかかる病気には、さび病や立枯病があります。いずれも葉の病気です。
肥料(窒素成分)が多すぎる場合、植え付けが深すぎる場合、水のやりすぎなどが原因で起こります。
良い土の環境を持続することがポイントですが、さび病などにかかった場合は種苗店で薬剤を購入して、使用上の注意に従って散布します。
薬を使用したくない方は、残念ながら病気をいち早く見つけて、プランターから取り除き廃棄してください。
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害虫
害虫は、にんにく特有のニオイが、天然の防虫剤になっていますので、さほど気にすることはありません。
稀に、葉裏に無数の卵(1mmに満たないほどの黒い点々)が付くことがあります。
こちらも卵のついた葉を取り除いて廃棄するか、種苗店で薬剤を買い求めて散布してください。
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まとめ
収穫まで9か月程度かかりますが、栽培自体は難しい作業ではありません。
「早く食べたい!」という気持ちを抑えて、じっくり腰を据えて育ててみてください。
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