夏と言えばスイカですね。
スイカの栽培は、どの蔓(つる)を伸ばし、どの花に実を付けるかの2つを押さえておけば、大失敗はありません。
栽培に挑戦して、甘くみずみずしいスイカで夏の涼を楽しんでみませんか?
小玉スイカの栽培方法、時期についてお伝えします。
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小玉スイカの栽培時期は?
小玉スイカの栽培に適した時期は、地域差はありますが「5月上旬から8月下旬」です。
スイカの育成温度は10~40℃と大きな幅がありますが、最も適した温度帯は20~30℃です。
5月中旬に苗を植え付けた場合、7月上旬から中旬に収穫を迎えます。
日当たりがよく、高い気温と乾燥した空気に恵まれた場所で栽培しましょう。
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スイカ栽培に必要なモノ
- 元肥
- 種 or 苗
- 敷き藁(しきわら)
- ネット
- 支柱
- 吊るし網
- 雨除け
1.元肥
種まきや苗の植え付け前、あらかじめ土に仕込んでおく肥料を元肥(もとひ)と呼びます。
苗を植える2週間前に堆肥3kg/m²を入れて十分に耕し、1週間前に化成肥料8-8-8を100g/m²程度撒いておきます。
※肥料の三要素は窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)です。
肥料のパッケージなどにある3つの数字の表記は、この三要素の含む量と割合をしめしています。
例えば、1-2-3の化成肥料の場合、化成肥料100gには、窒素1g-リン酸2g-カリウム3gを含む と読み取ります。
2.種 or 苗
種からも栽培できますが、スイカの発芽や育苗(いくびょう)は難しい温度条件が要求されます。
健康な苗を購入した方が安価で確実です。
苗は本葉が5枚以上ついており、緑が濃くて茎が太いものが良い苗です。
また、過去5~6年の間にスイカを栽培した場所では、病気に弱い、花が咲かない、受粉しても結実しないなどの障害がでることがあります。
これを連作障害といいますが、この場合は、必ず接ぎ木苗(つぎきなえ:病気に強い品種と結実しやすい品種などをつなぎ合わせた苗で、イイとこ取りのハイブリッドな苗です)を使用してください。
3.敷き藁(しきわら)
地植えの場合、敷き藁を準備してください。
土の保温保湿資材、水やりをしたときの土はね防止、雑草を抑制する機能を発揮してくれます。
4.果実マット
果実の下にマットを敷き、地面から絶縁して病気を防ぎつつ、クッション代わりに使います。
果実の底面に重量の負担をかけず、同時に光が当たりやすい環境を保つことができます。
5.ネット
支柱を立てて、スイカを上方向に成長させる形を、支柱栽培といいます。
スイカの支柱栽培専用のネットもありますし、キュウリ用のネットで代用してもOKです。
支柱栽培を行うなら、ネットは必須です。
6.支柱
支柱を立てて、スイカを上方向に成長させる方法を支柱栽培といいます。
支柱栽培を行うときは、ふんだんに支柱を立て、頑丈な支柱を組み上げます。
苗2本の場合、柱で180cmタイプのものを3本、柱の支えとして90cmタイプを6本程度。
さらに横方向に少なくとも2本は結合して、がっちりした構造を組んでください。
7.吊るし網
支柱栽培なら、果実を吊るしておく網を準備しておきましょう。
風で果実が揺れると蔓を痛めたり、蔓が切れて実が落ちてしまうこともあります。
専用のものもありますが、玉ねぎを入れておくネットを使っても大丈夫です。
8.雨除け
スイカの栽培は露地(頭上に何もない栽培場所のこと)でも不可能ではありませんが、雨に降られると実が割れるリスクがあるので、収穫前の約10日間は水を絶ちたいです。
できれば、雨除けとして広めのビニールを準備しておき、天気に応じて畑に設置してあげましょう。
スイカの栽培方法
- 植え付け前に
- 植え付け
- 水やり
- 摘芯(てきしん)
- 整枝(せいし)のコツ
- 実は受粉は簡単
- 玉なおし
- 追肥
- 収穫
1.植え付け前に
苗を植える2週間前に、堆肥3kg/m²を入れてよく耕します。
さらに1週間前には有機配合肥料もしくは化成肥料8-8-8を100g/m²散布しておきましょう。
もしも栽培中の病気が心配な場合は、消石灰も(150~200g/m²程度)散布します。
ウネのサイズは、タテ150cm×ヨコ120cmが目安です。
この大きさなら、縦方向に2本の苗を植え付けることができます。
面積を多く使いますが、スイカは地植えでも支柱栽培でも、根を水平方向に広く張ります。狭すぎるウネだと根が十分に張り出せないので、全体的に弱々しく実なりも少なくなります。
甘いスイカを目指すなら、面積はぜいたくに使いましょう。
2.植え付け
スイカは根を大切に扱いましょう。
苗をポットから取り出すときや、地面の穴に植える際には、根を痛めないよう、「丁寧に、やさしく」が基本です。
根のダメージが大きいと生育が遅れたり、病気が侵入したりすることもあります。
植付後は、水をたっぷり与えてください。
苗の土と畑の土との間にできた空間を埋めて、根が健康に生きる環境をととのえる必要があります。
3.植え付け間隔
株と株の間隔は80cm以上、できれば1mを確保してください。
スイカは自由に蔓を伸ばしますし、根も広く張り出しますので、仮に2本の株を育てるなら奥行き150cm×横幅150cm前後のスペースがあると良いでしょう。
4.水やり
通常時の水やりは土の表面が乾燥してしまった場合に、表面を湿らせる程度に水を与えます。
水のやりすぎは病気の原因になりますので、ドバドバと与えてはいけませんよ。
水を与えすぎると果実の味が薄くなる、実が割れるなどの悪影響がでますので、収穫の10日前からは一切、水を与えないようにしましょう。
5.摘芯(てきしん)
スイカは親蔓より、子蔓に雌花が付きやすい性質があります。
親蔓は本葉が5~8枚の時に、先端から2~3cmを指でちぎり取ってやります。
こうすることでスイカは小蔓を多く出そうとします。
6.整枝(せいし)のコツ
摘芯の後、同時にやっておきたい作業が整枝(せいし)です。
スイカは成長に勢いがつくと、何本も蔓を伸ばします。
放っておくと果実に養分が貯まらないので、何本かの蔓を残して、不要な蔓は摘み取ってしまいます。
この作業を整枝と呼びます。
元気のよい子蔓3本を残して、他の蔓は摘み取ります。
仕立てた蔓1本に3個、一つの苗で合計9個の収穫量を目指します。
小玉スイカの場合は、葉面積を確保する意味から、よほど茂りすぎない限り孫蔓(子蔓から分かれた若い蔓)は放っておきます。
7.実は受粉は簡単
ミツバチなどが花粉を運んで自然に受粉することもありますが、確実性が低いので、人の手によって受粉を行います。
受粉は時間の経過とともに受粉能力が落ちてしまいますので、午前5時~午前9時までに済まさないといけません。
品種にもよりますが、お昼を回ると花が閉じるものもあります。
適当な雄花を摘んで、雄しべの花粉を雌しべに軽く擦り付けてやりましょう。
受粉したら標識を立てて、受粉日を書いておくと収穫日に迷うことがありません。
8.玉なおし
地植えの場合は玉なおしをしてあげます。
果実に日光を当てるために、実の角度を10日に1回程度は変えるように置きなおしをしましょう。
実の同じ部分がずっと地面に触れていると、緑色が乗らず黄色くなってしまいますし、重量の負担が集中して痛むこともあります。
果実マットで座布団をして、ダメージを分散してあげましょう。
支柱栽培なら網に入れてしっかりとした支柱から吊るして収穫を待ちます。
小玉と言えども、風などで揺れると果実の重量が全体に悪影響を及ぼしてしまいます。
9.追肥
スイカは合計2回の追肥(ついひ:作物の成長に併せて与える肥料)を与えます。
1回目は小蔓が勢いよく伸び始めた頃に株元へ、2回目は果実が野球のボールぐらいの大きさになったころ、果実と蔓の先端の中間あたりに与えます。
2回目の追肥は株元ではありませんので、注意してください。
不思議に思うかもしれませんが、2回目の追肥を行うころ、栄養素を吸収する根の先端は株元から離れた位置まで成長しています。
株元に追肥をしても効果は得られません。
投与する量は、1回あたり化成肥料8-8-8を50~70g/株ずつです。
10.収穫
小玉スイカなら受粉から33~35日で収穫します。
果実の花が着いていた部分(ヘタの反対側)がへこむ、軽く果実を叩くと「ポンポン」という高い音が「ボンボン」と低い音に変わる、叩いた時の響き振動が異なってくるなどの見分け方がありますが、慣れていないとコツが掴めません。
受粉を行った際に立てた標識の日数に33~35日を足して、計算で収穫日を決めておくと、迷いがありません。
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病気・害虫対策
- 病気
- 害虫
- 連作障害
1.病気
炭そ病
葉に灰色の紋が無数に生じて、ひどい場合は穴が開いて、葉が死んでしまいます。
つる割病
蔓のいたるところが枯れたようにしなびてしまい、徐々に株自体が元気を失いながら、放っておくと枯れ死んでしまう病気です。
いずれも接ぎ木苗(抵抗性のある台木)を使用するとリスクを抑えることが可能です。
心配な場合は植え付け前、畑に消石灰を150~200g/m2散布しておくとよいでしょう。
連作障害と水のやり過ぎが主な原因です。
2.害虫
ハダニ、アブラムシが、予測されます。
定期的に葉や蔓を点検して、早め早めの対応が大切です。
少しでも被害があらわれたら薬剤で対処します。
また害虫は日光や明るい場所、キラキラしたものを嫌います。
2枚のCDのレーベル面を併せて、裏表ともキラキラした面が見えるように紐で固定して、作物の近くに吊るしておくと、完璧ではありませんが虫が寄り付きにくくなります。
3.連作障害
スイカは連作障害があり、5~6年間は同じ場所に作付けしないようにしますが、接ぎ木苗を用いることで障害を抑えることが可能です。
まとめ
スイカの蔓は放任しておくと、自由奔放に伸びていきます。
整枝を正しく行うことで、成長をしっかりコントロールして、甘い果実をゲットしてください。
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