甘いスイカを栽培したいけど、土地や畑はない・・・
そんなあなたへ、スイカをプランターで栽培する方法をお伝えします。
畑での栽培に比べて収穫量は少なくなりますが、住宅街やマンションでもスイカ栽培は可能です。
ポイントを押さえながら一つ一つ見ていきましょう。
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スイカの栽培時期
スイカ栽培に最も適した温度帯は20~30℃です。
地域差や気候によりますが、5月の上旬から7月中旬が栽培時期です。
仮に気温が10℃程度に落ち込んでも、枯れてしまうことはありませんが、成長に勢いがつきません。
南向きで日当たりがよく、高い気温と乾燥した空気に恵まれた時期と場所で栽培しましょう。
またスイカ栽培では、特に収穫直前の雨を嫌いますので、屋根のひさしの下やベランダなど、雨が直接当たらないところが最適ですね。
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スイカ栽培に必要なモノ
スイカ栽培に必要なモノを7つピックアップしたので、順番に紹介します。
- 土
- プランター
- 苗
- 追肥
- 支柱
- ネット
- 吊るし網
1.土
栽培に使用する土は、市販の培養土が良いでしょう。
もし土が余ったら、培養土は保存が可能なので、開封部分を厳重に密封して日陰などでストックしておいてください。
2.プランター
標準的な横幅65cmタイプなら1つの株、やや大き目の90cmタイプなら2つの株を植えることができます。
深さは40cm以上のサイズのものをご用意ください。
3.苗
失敗しない苗選び
スイカを種から育てるには、高い技術と設備費用が必要です。
健康な苗を購入した方が、安価で確実です。
苗は
- 本葉が5枚以上ついている
- 葉は緑が濃くて茎が太いもの
が良いです。
接ぎ木苗が良い
市販の培養土を用いる場合、連作障害※の心配はいりませんが、必ず接ぎ木苗(つぎきなえ:病気に強い品種と結実しやすい品種などをつなぎ合わせた苗で、イイとこ取りのハイブリッドな苗)を使用してください。
接ぎ木苗は病害虫の被害にも強い性質があります。
※同じ土に連続して同じ作物、または科目(スイカはウリ科植物)を栽培すると、病気が生じたり、成長しなかったり、収穫量が激減したりする場合があり、連作障害(れんさくしょうがい)と呼びます。
4.追肥
作物の成長に併せて与える肥料を追肥(ついひ)と呼びます。
一般的な化成肥料8-8-8※でも結構ですし、量が少ないので液肥(肥料成分を液体に溶かした肥料で、水で所定の倍率に希釈して使うので場所を取らず便利な資材)を活用しても結構です。
市販の培養土には、元肥(もとひ:苗の植え付け前にあらかじめ土に仕込んでおく肥料)はすでに配合されていますので、特に必要ではありません。
5.支柱
栽培スペースに限りがあり、地面を這うように蔓を伸ばせない場合は、上方向にスイカを伸ばすと良いでしょう。
ネットにスイカの蔓を這わして成長させるために、ネットを固定する支柱を組みましょう。
図は参考ですが、150~180cm程度の高さは欲しいところです。
劣化しにくい紐や針金、太陽光で劣化しない丈夫なロックタイなどで頑丈な支柱を組んでください。
6.ネット
スイカの支柱栽培専用のネットが販売されていますが、キュウリ用のネットで代用してもOKです。
もしスペースに余裕があれば、スイカの横でキュウリを栽培すると、一つのネットで2つの作物が栽培できますね。
7.吊るし網
果実を吊るしておく網を準備しておきましょう。
風で果実が揺れると蔓を痛めたり、蔓が切れて実が落ちたりすることもあります。
専用のものもありますが、玉ねぎを入れておくネットを使っても大丈夫です。
ロープワークが得意な方は、ビニール紐などで網状に結わえて吊るしても結構ですよ。
スイカの栽培方法
必要なモノが揃ったところで、栽培の手順を詳しく解説していきます。
- プランターの準備
- 植え付け
- 水やり
- 摘芯(てきしん)
- 整枝(せいし)のコツ
- 実は受粉は簡単
- 追肥のタイミングと量
- 収穫
1.プランターの準備
鉢底石を詰める
プランターの底部に鉢底石を敷き詰めてください。
スイカの根の周りが常に湿っていると、根が腐ることがあります。
与えた水がプランターの底に溜まりっぱなしになる悪い状況を解消するための資材です。
量はプランターを上から見て、底が見えない程度で十分です。
土をいれすぎない
鉢底石を敷き終えたら培養土をいれていきますが、上端まで目いっぱい入れないでください。
プランターの8割程度までの量、少なくとも上端から2~3cmは空けておいてください。
このスペースを水鉢(みずばち)とかウォータースペースと呼んでいます。
水はすぐに土の中へしみ込んでいきますが、目いっぱい土を詰め込むと土がプランター上端から流れ出したり、どれくらいの量を水やりしたのか確認しにくかったりします。
2.植え付け
スイカは根を大切に扱ってください。
ポットから取り出すときや、地面の穴に植える際には、根を痛めないよう「丁寧に、やさしく」が基本です。
根のダメージが大きいと生育が遅れたり、病気が侵入したりすることもあります。
植付後は、水をたっぷり与えます。
プランターの底から、与えた水が流れ出すくらいです。
苗の土と畑の土との間にできた空間を埋めて、根が健康に生きる環境をととのえる必要があります。
3.水やり
通常時の水やりは、土の表面が乾燥してしまった場合にのみ行います。
プランター全体にまんべんなく与えてください。
枯れてしまうのでは?と心配になるかもしれませんが、スイカは乾燥に強い植物ですし、逆に与えすぎは病気の原因になりますので、頻繁に与えてはいけませんよ。
本当に枯れ始めると、葉が内側にカールするように縮れてきます。
さすがにこれは乾燥しすぎなので、水やりのペースを短縮してください。
水のやりすぎは果実の味が薄くなる、実が割れるなどの悪影響がでるので、収穫の10日前からは一切、水を与えません。
4.摘芯(てきしん)
スイカは太く成長の早い親蔓より、親蔓から分かれて伸びようとする子蔓に雌花が付きやすい性質があります。
草丈を抑えつつ、雌花を着けやすい子蔓に栄養分を回すために、親蔓は本葉が5~8枚の時に、先端から2~3cmを指でちぎり取ってやります。
この作業を摘芯(てきしん)と呼びます。
スイカの成長を放っておくと、2m以上の高さに成長します。
管理しにくい高さといえますし、そこまで伸ばしても花が付かない・実を結ばないという場合は病気か水のやり過ぎによる失敗です。
5.整枝(せいし)のコツ
摘芯の後、同時にやっておきたい作業が整枝(せいし)です。
スイカは成長に勢いがつくと、何本も蔓を伸ばしてしまいます。
株が健康な証拠ではありますが、果実に養分が貯まらないので、よりたくましい蔓を選んで、不要な蔓は摘み取ってしまいます。
この作業を整枝と呼びます。
1株あたり2本の元気のよい子蔓を残し、他の蔓は摘み取ってください。
プランター栽培の場合は、仕立てた子蔓1本に2個、一つの株で合計4個の収穫量を目指します。
5個以上の栽培もできますが、土の量や根の張り出すことができる面積が小さいので、残念ながら甘さや大きさはイマイチな果実になろうかと想像します。
葉面積を確保する意味から、よほど茂りすぎない限り孫蔓(子蔓からさらに分かれた若い蔓)は放ったらかしでも大丈夫です。
6.実は受粉は簡単
スイカは、偶然が重なるとミツバチなどが花粉を運んで自然に受粉したり、花粉が風に乗って受粉したりします。
しかしプランターで少数の株を栽培していると、特に確実性が低いので、人の手によって受粉を行います。
スイカの受粉は時間の経過とともに受粉能力が落ちてしまいますので、午前5時~午前9時までに済まさないといけません。
品種にもよりますが、お昼を回ると花が閉じるものもあります。
適当な雄花を摘んで、雄しべの花粉を雌しべに軽く擦り付けてやりましょう。
受粉したら標識を立てるか、メモ帳に記録して、受粉日を書いておきましょう。
スイカの収穫は受粉日以降の日数で決めます。
今日が、受粉後何日なのか解らないと収穫に適したタイミングも解りませんよ。
7.追肥のタイミングと量
スイカは合計2回の追肥を与えます。
1回目は子蔓が勢いよく伸び始めた頃に株元へ、2回目は果実が野球のボールぐらいの大きさになったころ、プランターの縁の近くに与えます。
2回目の追肥は株元ではありませんので、注意してください。
不思議に思うかもしれませんが、2回目の追肥を行うころ、栄養素を吸収する根の先端は、株元から離れた位置まで成長しています。
株元に追肥をしても、効果は得られません。
投与する量は、1回あたり化成肥料8-8-8を50g/株ずつです。
液肥を活用する場合は、パッケージに使用量や希釈倍率の表記がありますので、そちらを参照してください。
8.収穫
大玉スイカなら受粉から約40日で収穫します。
果実の花が着いていた部分(ヘタの反対側)がへこむ、軽く果実を叩くと「ポンポン」という高い音が「ボンボン」と低い音にかわる、叩いた時の響き振動が異なってくるなど、見分ける方法はありますが、慣れていないとコツが掴めません。
受粉を行った際に立てた標識の日数に約40日を足して、「計算」で収穫日を決めておくと、迷いがありませんし、プロも計算で収穫しています。
病気・害虫対策
病気
炭そ病
葉に灰色の紋が無数に生じて、ひどい場合は穴が開いて、葉が死んでしまいます。
つる割病
蔓のいたるところが枯れたようにしなびてしまい、徐々に株自体が元気を失いながら、放っておくと枯れて死んでしまう病気です。
いずれも接ぎ木苗(抵抗性のある台木)を使用するとリスクを抑えることが可能です。
心配な場合は植え付け前、畑に消石灰を150~200g/m2散布しておくとよいでしょう。
連作障害と水のやり過ぎが、病気の主な原因です。
害虫
ハダニ、アブラムシが予測されます。
定期的に葉や蔓を点検して、早め早めの対応が大切です。
少しでも被害があらわれたら薬剤で対処します。
害虫は日光や明るい場所、キラキラしたものを嫌います。2枚のCDのレーベル面を併せて、裏表ともキラキラした面が見えるように紐で固定して、作物の近くに吊るしておくと、完璧ではありませんが虫が寄り付きにくくなります。
連作障害
スイカは連作障害があり、5~6年間は同じ場所に作付けしないようにしますが、接ぎ木苗を用いることで障害を抑えることが可能です。
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まとめ
スイカは首都圏や住宅地が密集する地域でも栽培できます。
高層マンションのベランダで栽培なさると、日当たりが良くてクオリティーの高いスイカが収穫できるかもしれませんね。
水の与えすぎと、蔓の繁殖しすぎに注意して、スイカ栽培をお楽しみください。
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